くらげnote

"ぼやき" by くらげ(fal)

チェビシェフ多項式とその性質

この記事は旧ブログからの移植です.

ここから検索用:

チェビシェフ多項式 page. 1 ♦ チェビシェフ多項式とその性質 チェビシェフ多項式の存在 cos kθ は cos θ の多項式として表せる. とくに,cos θ = x とおくと x の多項式 Tk(x) を用いて cos kθ = Tk(x) と表わせ, つぎの漸化式を満 たす. Tk(x) = x (k = 1) 2x2 − 1 (k = 2) 2xTk−1(x) − Tk−2(x) (k ≧ 3) 例.cos 3θ = 4 cos3 −3 cos θ より, T3(x) = 4x3 − 3x [ 証明 ] 数学的帰納法で示す. k = 1 のときは明らかに成立. k = 2 のとき,cos 2θ = 2 cos2 θ − 1 より成立. k = m − 2, m − 1 での成立を仮定する.(すなわち,cos(m − 2)θ と cos(m − 1)θ は ◀ あとで 3 項間の関係 を利用するので, 初期 条件が 2 つ必要. cos θ の多項式にできる.) このとき, cos mθ + cos(m − 2)θ = 2 cos(m − 1)θ cos θ ◀ いわゆる和積の公式. ∴ cos mθ = 2 cos(m − 1)θ cos θ − cos(m − 2)θ となるので,cos mθ も cos θ の多項式. 以上より, すべての自然数 k で補題が成立する. ■ written by faℓ

チェビシェフ多項式 page. 2 チェビシェフ多項式の性質 (i) Tk(x) の次数は k で, 最高次の係数は 2k−1 である. (ii) Tk(x) のすべての係数は整数である. (iii) T2k−1 の定数項は 0, T2k の定数項は (−1)k である. (i)(ii)(iii) のすべてを示す. 数学的帰納法を用いる. k = 1, 2 のとき T1(x) = x T2(x) = 2x2 − 1 より, それぞれ (i)(ii)(iii) を満たす. k = m − 2, m − 1 で (i)(ii)(iii) の成立を仮定する. Tm(x) = 2xTm−1(x) − Tm−2(x) Tm−1(x) は m − 1 次式, Tm−2(x) は m − 2 次式なので Tm(x) は m 次式. Tm−1(x) の最高次の係数は 2m−2 ゆえ Tm(x) の最高次の係数は 2m−1 となる. また, Tm(x) の定数項は Tm−2(x) の定数項を (−1) 倍したもの. したがって (ii) が得 られる. 係数は整数倍され, 足し算もしくは引き算されるのみなので, また整数となる. した がって (iii) も成立. ■ written by faℓ