くらげnote

"ぼやき" by くらげ(fal)

定位置と確率【競技かるた】

問題

Aさんの定位置表では, 右下段が25枚あります.

定位置表

Aさんは自陣を25枚並べるとき, 右下段が8枚以上あり「多い」と感じることが ”よくある”と思っております。 それは本当に”よくある”ことなのでしょうか?

答え

Aさんが右下段を「多い」と感じる確率を求めると, 24.9 % です。 ざっくり言えば、4試合に1度は右下段を「多い」と感じていますね。

数値を変えてみるとどうなる

↓定位置表 \ 自陣25枚中→ 5枚以上 6枚以上 7枚以上 8枚以上 9枚以上
16枚 36.4 % 17.1 % 6.2 % 1.7 % 0.4 %
17枚 42.6 % 21.7 % 8.7 % 2.7 % 0.6 %
18枚 48.7 % 26.7 % 11.7 % 4.0 % 1.1 %
19枚 54.6 % 32.1 % 15.1 % 5.7 % 1.7 %
20枚 60.2 % 37.6 % 19.1 % 7.8 % 2.5 %
21枚 65.5 % 43.3 % 23.5 % 10.3 % 3.6 %
22枚 70.4 % 48.9 % 28.3 % 13.3 % 5.1 %
23枚 74.9 % 54.4 % 33.3 % 16.8 % 6.9 %
24枚 78.9 % 59.7 % 38.5 % 20.6 % 9.1 %
25枚 82.4 % 64.8 % 43.8 % 24.9 % 11.6 %

どのように求めたのか

自身の定位置表における右下段の枚数を n 枚とし, 試合で自陣に並べる札25枚のうち, 右下段の枚数を  k 枚とします (0\le n \le 100, 0\le k \le 25, k\le n). 25枚中 k 枚が右下段である確率は, 二項係数を用いて

 
\displaystyle 
\frac{ {}_n\mathrm{C}_k \cdot {}_{100-n}\mathrm{C}_{25-k} }{ {}_{100}\mathrm{C}_{25} } 

と表せます. したがって, 試合で25枚並べた際に右下段が k 枚以上となる確率  P_{n}(k)

 
\displaystyle 
P_{n}(k) = 
\sum_{i=k}^{m}
\frac{ {}_n\mathrm{C}_i \cdot {}_{100-n}\mathrm{C}_{25-i} }{ {}_{100}\mathrm{C}_{25} } 
\quad
(m:=\min \{n,25\})

ですね.

上記の表の値は,  P_{n}(k)Mathematicaを用いて求め, その値を小数第2位で四捨五入したものです.

有理数となる三角関数の値

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関連記事 fal-math.hatenablog.com

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有理数となる三角比 page. 1 1 問題 とても有名な大学入試問題がある. 問題(京都) tan 1◦ は有理数か.(tan1 は有理数か.) 問題文の簡潔さが有名であり, 証明自体は背理法と加法定理を組み合わせることで証明できる. この問題を一般化してみる. 問題 A. cos θ, sin θ, tan θ が有理数となる条件をそれぞれ求めよ. 私はこの問題をまだ解けていないので, 少し条件を追加した次の問題を, 今回は解く. 問題 B. 有理数 p に対して,cos pπ, sin pπ, tan pπ が有理数となる条件をそれぞれ求めよ. これは次のように言い換えても良い. 問題 B′. 有理数 q に対して,cos q◦, sin q◦, tan q◦ が有理数となる条件をそれぞれ求めよ. written by faℓ

有理数となる三角比 page. 2 2 問題を解くための準備 以下の 4 つの補題を, 後の証明で用いる. 補題 1. チェビシェフ多項式 cos kθ は cos θ の多項式として表せる. とくに,cos θ = x とおくと x の多項式 Tk(x) を用いて cos kθ = Tk(x) と表わせ, Tk(x) = x (k = 1) 2x2 − 1 (k = 2) 2xTk−1(x) − Tk−2(x) (k ≧ 3) 補題 2. チェビシェフ多項式の性質 (i) Tk(x) の次数は k で, 最高次の係数は 2k−1 である. (ii) Tk(x) のすべての係数は整数である. (iii) T2k−1 の定数項は 0, T2k の定数項は (−1)k である. 以上 2 つの証明は次の記事に載っている. http://falmath.starfree.jp/blogs/chebyshev.html 補題 3. 自然数 m と n が互いに素ならば, ma = nb + 1 を満たすような自然数 a, b が存在する. [ 証明 ] まず, m, 2m, · · · , nm のそれぞれを n で割った余りがすべて異なること を示す. 余りが等しくなる 2 数 sm, tm(1 ≦ s < t ≦ n) が存在したとすると (t − s)m は n の倍数. m と n は互いに素なので, (t − s) は n の倍数, すなわち n で割り切れる. こ れは 0 < t − s < n に矛盾. よって, n 個の数 m, 2m, · · · , nm のうち n で割った余りが 1 のものが唯一つあ るので, それを am とすれば ma = nb + 1 を満たす. ■ 補題 4. anxn + an−1xn−1 + · · · + a1x + a0 = 0 (各 ak は整数, a0 ̸= 0) が有理数解 q p を持つ ⇒p は an の約数かつ, q は a0 の約数 証明は次の記事に載っている. http://falmath.starfree.jp/blogs/yurisukai.html written by faℓ

有理数となる三角比 page. 3 3 cos pπ が有理数となる必要十分条件 定理 1.cos pπ が有理数となる必要十分条件 互いに素である自然数 n と整数 m に対し, 以下の条件は同値. (1) cos m n π が有理数 (2) n = 1, 2, 3 注意:普通, 有理数といえば互いに素な整数 a, b(a ̸= 0) に対し b a と表せる数のこと であるが, 分母を正に限定しても(分子を負にすれば負の数も表現できるので)問題 ない. [ 証明 ] (2)⇒(1) を示す. cos mπ = (−1)m cos mπ 2 = 0 (m は 2 で割り切れない) cos mπ 3 = ±1 2 (m は 3 で割り切れない) となりそれぞれ有理数である. (1)⇒(2) を示す. 補題 1 より, cos θ が有理数 ⇒cos kθ が有理数(k は自然数.) これと補題 3 を用いることで, つぎの関係を得る. cos m n π が有理数 ⇒ cos ma n π が有理数 ⇒ cos nb + 1 n π が有理数 ⇒ cos ( bπ + π n ) が有理数 ⇒ (−1)b cos π n が有理数 すなわち, 仮定より cos π n は有理数. (i) n ≧ 5 である奇数のとき Tn(cos θ) = cos nθ と定めたので, Tn ( cos π n ) = cos ( n · π n ) = −1 また, 補題 2 より n が奇数のときは Tn(x) は次のように表せる. Tn(x) = 2n−1xn + a1xn−1 + · · · + an−1x Tn ( cos π n ) = 2n−1 cosn π n + a1 cosn−1 π n + · · · + an−1 cos π n written by faℓ

有理数となる三角比 page. 4 したがって 2n−1 cosn π n + a1 cosn−1 π n + · · · + an−1 cos π n + 1 = 0 いま, 仮定より cos π n は有理数なので, 方程式 2n−1xn + a1xn−1 + · · · + an−1x + 1 = 0 は(cos π n という)有理数解を持つ. 補題 4 より, cos π n = ± 定数項の約数 最高次の係数の約数 = ± 1 2k (k = 0, 1, · · · , n − 1) k = 0 のとき, cos π n = 1 となる. すなわち, π n が 2π の整数倍となればよいが, 場 合分けの際の仮定より n ≧ 5 であるため不適. k = 1, · · · , n − 1 のとき, cos π n = 1 2k ≦ 1 2 であるが, 場合分けの際の仮定より n ≧ 5 であるため, cos π n > cos π 3 = 1 2 より不適. よって,n ≧ 5 である奇数のときは矛盾. (ii) n が 4 の倍数のとき 仮定より自然数 l を用いて n = 4l と表せる. cos π n = cos π 4l が有理数と仮定する と, 補題 1 より cos ( l · π n ) = cos π 4 = 1 √ 2 も有理数. これは矛盾. (iii) n が 10 以上かつ,4 で割ると 2 余るとき 仮定より自然数 l を用いて n = 4l + 6 と表せる. cos π n = cos π 4l+6 が有理数と仮 定すると, 補題 1 より cos ( 2 · π n ) = cos π 2l+3 も有理数. これは先程示した (i) よ り矛盾. (iv) n = 6 のとき cos π n = cos π 6 = √ 3 2 より有理数でない. 以上を合わせると, n = 5 以上の奇数 4 の倍数 10 以上の 4 で割ると 2 余る数 6 ⇔ n ≧ 4 のときに cos π n が無理数となることがわかった. n = 1, 2, 3 のときはすでに示したように有理数となる. したがって, cos m n π が有理数となるのは n = 1, 2, 3 のときのみ. ■ written by faℓ

有理数となる三角比 page. 5 4 sin pπ が有理数となる必要十分条件 定理 2.sin pπ が有理数となる必要十分条件 互いに素である自然数 n と整数 m に対し, 以下の条件は同値. (1) sin m n π が有理数 (2) n = 1, 2, 6 [ 証明 ] (2)⇒(1) は計算すれば明らか. (1)⇒(2) を示す. 定理 1 より, 互いに素である自然数 k と整数 l に対し cos l kπ が有理数となるのは k = 1, 2, 3 のときのみ. ここで, cos l k π = sin ( l k π + π 2 ) = sin 2l + k 2k π となるので, (i) k = 1 のとき sin 2l+k 2k π = sin 2l+1 2 π (ii) k = 2 のとき,l が奇数となることに気をつけると, sin 2l+k 2k π = sin l+1 2 π = sin mπ (m は整数) ◀ 仮定より k と l は互 いに素 (iii) k = 3 のとき sin 2l+k 2k π = sin 2l+3 6 π このとき,l は 3 の倍数でないことから,2l + 3 と 6 は互いに素. すなわち, 分母が 1,2,6 のときのみであることが得られる. ■ written by faℓ

有理数となる三角比 page. 6 5 tan pπ が有理数となる必要十分条件 定理 3.tan pπ が有理数となる必要十分条件 互いに素である自然数 n と整数 m に対し, 以下の条件は同値. (1) tan m n π が有理数 (2) n = 1, 4 [ 証明 ] (2)⇒(1) は計算すれば明らか. (1)⇒(2) を示す. tan m n π が有理数 ⇒ tan2 m n π が有理数 ⇒ 1 tan2 m n π + 1 が有理数 ⇒ cos2 m n π が有理数 ⇒ 1 + cos 2m n π 2 が有理数 ⇒ cos 2m n π が有理数 定理 1 より, cos 2m n π が有理数となるためには n = 1, 2, 3, 4, 6 である必要がある. ◀ n = 4, 6 のとき, 約 分することで分母がそ れぞれ 2,3 になる. 先 程の定理では既約分数 であることを仮定して いたため, 約分する必 要がある. n = 1, 2, 3, 4, 6 のとき,tan m n π が有理数になるかどうか確かめる. (i) n = 1 のとき tan mπ = 0 (ii) n = 2 のとき,tan m 2 π(m は 2 で割り切れない)は定義されない. (iii) n = 3 のとき,tan m 3 π = ± √ 3(m は 3 と互いに素) (iv) n = 4 のとき,tan m 4 π = ±1(m は 4 と互いに素) (v) n = 6 のとき,tan m 6 π = ± 1 √ 3 (m は 6 と互いに素) となるので, 有理数となるのは n = 1, 4 のみ. ■ written by faℓ

有理数となる三角比 page. 7 6 まとめ 最初の問題 B への解答は次となる. 問題 B. の解答 有理数 p に対して,cos pπ, sin pπ, tan pπ が有理数となる条件は, cos pπ が有理数 ⇔ p を既約分数で表したとき, 分母が 1,2,3 sin pπ が有理数 ⇔ p を既約分数で表したとき, 分母が 1,2,6 tan pπ が有理数 ⇔ p を既約分数で表したとき, 分母が 1,4 である. 言い換えた問題 B′ に対しては, 問題 B′. の解答 有理数 q に対して,cos q◦, sin q◦, tan q◦ が有理数となる条件は, 整数 n を用いて cos q◦ が有理数 ⇔ q = 60n, 90n sin q◦ が有理数 ⇔ q = 90n, 180n ± 30 tan q◦ が有理数 ⇔ q = 45n である. これはすなわち, 有名角とよばれる角の三角比にしか, 有理数となるものがないことを述べている. また逆 に, 例えば 3 : 4 : 5 の直角三角形の鋭角が, 無理数であることもわかる. written by faℓ

チェビシェフ多項式とその性質

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チェビシェフ多項式 page. 1 ♦ チェビシェフ多項式とその性質 チェビシェフ多項式の存在 cos kθ は cos θ の多項式として表せる. とくに,cos θ = x とおくと x の多項式 Tk(x) を用いて cos kθ = Tk(x) と表わせ, つぎの漸化式を満 たす. Tk(x) = x (k = 1) 2x2 − 1 (k = 2) 2xTk−1(x) − Tk−2(x) (k ≧ 3) 例.cos 3θ = 4 cos3 −3 cos θ より, T3(x) = 4x3 − 3x [ 証明 ] 数学的帰納法で示す. k = 1 のときは明らかに成立. k = 2 のとき,cos 2θ = 2 cos2 θ − 1 より成立. k = m − 2, m − 1 での成立を仮定する.(すなわち,cos(m − 2)θ と cos(m − 1)θ は ◀ あとで 3 項間の関係 を利用するので, 初期 条件が 2 つ必要. cos θ の多項式にできる.) このとき, cos mθ + cos(m − 2)θ = 2 cos(m − 1)θ cos θ ◀ いわゆる和積の公式. ∴ cos mθ = 2 cos(m − 1)θ cos θ − cos(m − 2)θ となるので,cos mθ も cos θ の多項式. 以上より, すべての自然数 k で補題が成立する. ■ written by faℓ

チェビシェフ多項式 page. 2 チェビシェフ多項式の性質 (i) Tk(x) の次数は k で, 最高次の係数は 2k−1 である. (ii) Tk(x) のすべての係数は整数である. (iii) T2k−1 の定数項は 0, T2k の定数項は (−1)k である. (i)(ii)(iii) のすべてを示す. 数学的帰納法を用いる. k = 1, 2 のとき T1(x) = x T2(x) = 2x2 − 1 より, それぞれ (i)(ii)(iii) を満たす. k = m − 2, m − 1 で (i)(ii)(iii) の成立を仮定する. Tm(x) = 2xTm−1(x) − Tm−2(x) Tm−1(x) は m − 1 次式, Tm−2(x) は m − 2 次式なので Tm(x) は m 次式. Tm−1(x) の最高次の係数は 2m−2 ゆえ Tm(x) の最高次の係数は 2m−1 となる. また, Tm(x) の定数項は Tm−2(x) の定数項を (−1) 倍したもの. したがって (ii) が得 られる. 係数は整数倍され, 足し算もしくは引き算されるのみなので, また整数となる. した がって (iii) も成立. ■ written by faℓ

対称式の基本定理

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対称式の基本定理 page. 1 ♦ 対称式の基本定理とその証明 1 対称式とは x, y の多項式のうち, x と y を入れ替えても, 元の式と同じになるものを対称式と いう. 例えば, x2 +y2, xy, 1 x + 1 y は対称式である. x−y, x2 −y2, x+2y は対称式でない. 文字が 3 文字でも, 同じことを考えられる. x, y, z の多項式のうち, x, y, z を好きな ように入れ替えても, 元の式と同じになるものを対称式という. 例えば, x2 + y2 + z2, xyz, 1 xy + 1 yz + 1 zx は対称式である. x − y + z, x2 − y2 + z2, x + y + z2 は対称式でない. 文 字 が n 文 字 で も, 同 じ こ と を 考 え ら れ る. x1, x2, · · · , xn の 多 項 式 の う ち, x1, x2, · · · , xn を好きなように入れ替えても, 元の式と同じになるものを 対称式という. 2 基本対称式とは 定義 n 個の変数 {x1, x2, · · · , xn} から, k 個の変数を選んで掛け合わせて k 次の単項式を作る. この 時, k 個の変数の組み合わせを全て考えて, k 次の単項式を足し合わせてできた対称式を基本対称式と いい σk(x1, x2, · · · , xn) と表す. すなわち, σ1(x1, x2, · · · , xn) = x1 + x2 + · · · + xn σ2(x1, x2, · · · , xn) = x1x2 + x1x3 + · · · + x1xn + x2x3 + · · · + xn−1xn σ3(x1, x2, · · · , xn) = x1x2x3 + x1x2x4 + · · · + xn−2xn−1xn · · · σn(x1, x2, · · · , xn) = x1x2x3 · · · xn σk(x1, x2, · · · , xn) は, 変数 {x1, x2, · · · , xn} からなる n 変数関数である. 単に σk と略記することもある. 難しく見えるが, 具体例に置き換えてみよう. 2 個の変数 x, y のとき, ◀ σ1, σ2 は, x, y の関 数. {σ1(x, y) = x + y σ2(x, y) = xy written by faℓ

対称式の基本定理 page. 2 3 個の変数 x, y, z のとき, ◀ σ1, σ2, σ3 は, x, y, z の関数. σ1(x, y, z) = x + y + z σ2(x, y, z) = xy + yz + zx σ3(x, y, z) = xyz 3 対称式の基本定理 定理(対称式の基本定理) x1, x2, · · · , xn についての対称式 f(x1, x2, · · · xn) は基本対称式 σ1, σ2, · · · , σn に関する整式 g(σ1, σ2, · · · , σn) として一意に表すことができる. 例えば, 文字が 2 文字のとき ◀ σ1 = x + y, σ2 = xy x2 + y2 = (x + y)2 − 2xy = σ2 1 − 2σ2 y x + x y = x2 + y2 xy = (x + y)2 − 2xy xy = σ2 1 − 2σ2 σ2 文字が 3 文字のとき, ◀ σ1 = x + y + z, σ2 = xy + yz + zx, σ3 = xyz x2 + y2 + z2 = (x + y + z)2 − 2(xy + yz + zx) = σ2 1 − 2σ2 x3 + y3 + z3 = (x + y + z)(x2 + y2 + z2 − xy − yz − zx) + 3xyz = (x + y + z) { (x + y + z)2 − 3(xy + yz + zx) } + 3xyz = σ1(σ2 1 − 3σ2) − 3σ3 written by faℓ

対称式の基本定理 page. 3 4 基本定理の証明の準備 定理を証明するために, 単項式・多項式に対して辞書式順序というものを定義する. ◀ 本サイト独自の定義. 定義 単項式 X, Y が {X = Axp1 1 xp2 2 · · · xpn n Y = Bxq1 1 xq2 2 · · · xqn n と表されるとき, 以下のように辞書式順序を定める. X は Y より強い(Y は X より弱い) ⇔ 次のいずれかが成立. • p1 > q1 • p1 = q1, p2 > q2 · · · • p1 = q1, p2 = q2, · · · , pn−1 = qn−1, pn > qn x1, · · · , xn に関する多項式 f, g に対し, f が g より強い ⇔ f の項のうち最も強い項が g の項のうち最も強い項より強い. 5 基本定理の証明 まずは f が基本対称式で表せることを示す. k 次の項のみを含む対称式について示す. ◀ 一般の対称式は ∑ k (k 次の対称式) と 表すことができる 対称式 f(x1, · · · , xn) の項のうち, 最も強い項を Axp1 1 xp2 2 · · · xpn n ···················· 1⃝ とする. このとき, f は対称式ゆえ p1 ≧ p2 ≧ · · · ≧ pn ◀ 例 え ば, 文 字 が 3文 字 の と き(p1,p2,p3)=(1, 3, 1) が項として あ れ ば, 対 称 式 ゆ え (3, 1, 1) の項も存在. が成立. ここで, g1(σ1, · · · , σn) = Aσp1−p2 1 σp2−p3 2 · · · σpn n = A ( n ∑ i=1 xi )p1−p2 ∑ i, j xixj p2−p3 · · · (x1x2 · · · xn)pn と g1 を定めると, これは対称式で, 最も強い項は 1⃝ となる. written by faℓ

対称式の基本定理 page. 4 すなわち, f1 = f(x1, · · · , xn) − g1(σ1, · · · , σn) とすれば, f1 は f より弱い. 次に f1 の最強の項について同じことを考える. すなわち, f1 の最強の項と同じ項を持 つ対称式 g2 をもってきて, f2 = f1(x1, · · · , xn) − g2(σ1, · · · , σn) とすれば, f2 は f1 より弱い. これを繰り返すごとに, fn は弱くなっていくので最終的に f = g1(σ1, · · · , σn) + f1(x1, · · · , xn) = g1(σ1, · · · , σn) + g2(σ1, · · · , σn) + f2(x1, · · · , xn) = g1(σ1, · · · , σn) + g2(σ1, · · · , σn) + · · · + gm(σ1, · · · , σn) となり, f は基本対称式のみで表せる. 次に一意性を背理法を用いて示す. f を基本対象式のみで表す式が複数ある, すなわち {f(x1, · · · , xn) = g(σ1, · · · , σn) = g′(σ1, · · · , σn) g(x1, · · · , xn) ̸= g′(x1, · · · , xn) を満たす g, g′ があると仮定する. このとき, h(x1, · · · , xn) = g(x1, · · · , xn) − g′(x1, · · · , xn) とおくと, 仮定より {h(x1, · · · , xn) ̸= 0 h(σ1, · · · , σn) = 0 ···················· 2⃝ ···················· 3⃝ を満たす. 2⃝ より, ある定数 a1, · · · , an が存在して h(a1, · · · , an) ̸= 0 ···················· 4⃝ written by faℓ

対称式の基本定理 page. 5 このとき, 方程式 Xn − a1Xn−1 + a2Xn−2 − · · · + (−1)nan = 0 の解を α1, · · · , αn とすると, 解と係数の関係より

σ1(α1, · · · , αn) = a1 σ2(α1, · · · , αn) = a2 · · · σn(α1, · · · , αn) = an 4⃝ に代入して, h (σ1(α1, · · · , αn), σ2(α1, · · · , αn), · · · , σn(α1, · · · , αn)) ̸= 0 ∴ h(σ1, · · · , σn) ̸= 0 これは 3⃝ に反する. 背理法の仮定が間違っているので, f を基本対称式で表す式は一意であることが導か れる. ■ written by faℓ

倍数判定法

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倍数判定法 page. 1 ♦ 倍数判定法 1 3 の倍数, 9 の倍数 定理 1 (a) 3 の倍数 ⇔ 各位の総和が 3 の倍数 (b) 9 の倍数 ⇔ 各位の総和が 9 の倍数 N が 4 桁の整数のときの証明.1 N = 1000a + 100b + 10c + d とする.(0 ≦ a, b, c, d ≦ 9) (a) N を 3 で (無理矢理) くくる. N = 1000a + 100b + 10c + d = (3 · 333 + 1)a + (3 · 33 + 1)b + (3 · 3 + 1)c + d = 3(333a + 33b + 3c) + (a + b + c + d) 3(333a + 33b + 3c) は 3 の倍数なので, N が 3 の倍数 ⇔ a + b + c + d が 3 の倍数 ここで,a + b + c + d は各位の和である. (b) N を 9 で (無理矢理) くくる. N = 1000a + 100b + 10c + d = (9 · 111 + 1)a + (9 · 11 + 1)b + (9 + 1)c + d = 9(111a + 11b + c) + (a + b + c + d) 9(111a + 11b + c) は 3 の倍数なので, N が 9 の倍数 ⇔ a + b + c + d が 9 の倍数 ここで,a + b + c + d は各位の和である. 1一般の桁数でも証明は同様. written by faℓ

倍数判定法 page. 2 2 4 の倍数, 25 の倍数, 8 の倍数 定理 2 (a) 4 の倍数 ⇔ 下 2 桁が 4 の倍数 (b) 25 の倍数 ⇔ 下 2 桁が 25 の倍数 (c) 8 の倍数 ⇔ 下 3 桁が 8 の倍数 (a) N = 100n + 10a + b とする.(0 ≦ a, b ≦ 9, n ≧ 0) N を 4 でくくる. N = 100n + 10a + b = 4 · 25n + (10a + b) 4 · 25n は 4 の倍数なので, N が 4 の倍数 ⇔ 10a + b が 4 の倍数 ここで, 10a + b は下 2 桁である. (b) N = 100n + 10a + b とする.(0 ≦ a, b ≦ 9, n ≧ 0) N を 25 でくくる. N = 100n + 10a + b = 25 · 4n + (10a + b) 25 · 4n は 25 の倍数なので, N が 25 の倍数 ⇔ 10a + b が 25 の倍数 ここで, 10a + b は下 2 桁である. (c) N = 1000n + 100a + 10b + c とする.(0 ≦ a, b, c ≦ 9, n ≧ 0) N を 8 でくくる. N = 1000n + 100a + 10b + c = 8 · 125n + (100a + 10b + c) 8 · 125n は 8 の倍数なので, N が 8 の倍数 ⇔ 100a + 10b + c が 8 の倍数 ここで, 100a + 10b + c は下 3 桁である. written by faℓ

倍数判定法 page. 3 3 2n の倍数, 5n の倍数 定理 3 任意の自然数 N について2 (a) N が 2n の倍数 ⇔ N の下 n 桁が 2n の倍数 (b) N が 5n の倍数 ⇔ N の下 n 桁が 5n の倍数 N の桁数 m とすると N = a1 + 101a2 + · · · + 10m−1am と表せる.(0 ≦ ak ≦ 9) m ≦ n のとき,(下 n 桁は N そのものなので) 主張は自明. n < m のとき, N = a1 + 101a2 + · · · + 10n−1an + 10nan+1 + 10n+1an+2 + · · · + 10m−1am (a) 2n でくくると, N = a1 + 101a2 + · · · + 10n−1an + 2n · ( 5nan+1 + 2 · 5n+1an+2 + · · · + 2m−n−1 · 5m−1am ) したがって, N が 2n の倍数 ⇔ a1 + 101a2 + · · · + 10n−1an が 2n の倍数 ⇔ 下 n 桁が 2n の倍数 (b) 5n でくくると, N = a1 + 101a2 + · · · + 10n−1an + 5n · ( 2nan+1 + 5 · 2n+1an+2 + · · · + 5m−n−1 · 2m−1am ) したがって, N が 5n の倍数 ⇔ a1 + 101a2 + · · · + 10n−1an が 5n の倍数 ⇔ 下 n 桁が 5n の倍数 2定理 2 の一般化. written by faℓ

倍数判定法 page. 4 4 11 の倍数 定理 4 11 の倍数 ⇔ 交代和が 11 の倍数 [N が 4 桁の整数のときの証明] N = 1000a + 100b + 10c + d とする.(0 ≦ a, b, c, d ≦ 9) N を 11 で (無理矢理) くくる. N = 1000a + 100b + 10c + d = (11 · 91 − 1)a + (11 · 9 + 1)b + (11 · 1 − 1)c + d = 11(91a + 9b + c) + (−a + b − c + d) 11(91a + 9b + c) は 11 の倍数なので, N が 11 の倍数 ⇔ −a + b − c + d が 11 の倍数 ここで,−a + b − c + d は交代和である. [N が一般の桁数のときの証明] N の桁数 m とすると N = a1 + 101a2 + 102a3 + · · · + 10m−1am と表せる.(0 ≦ ak ≦ 9) ここで, 10 ≡ −1 (mod11) より, N = a1 + 101a2 + 102a3 + · · · + 10m−1am ≡ a1 + (−1)a2 + (−1)2a3 + · · · + (−1)m−1am ≡ a1 − a2 + a3 − · · · + (−1)m−1am したがって, N が 11 の倍数 ⇔ N の交代和が 11 の倍数 written by faℓ

倍数判定法 page. 5 5 7 の倍数 定理 5 7 の倍数 ⇔ 3 桁ずつに区切った交代和が 7 の倍数 定理を書いただけでは解りにくいと思うので, 例を上げる. 例 78456896 が 7 の倍数かどうか判定する. 下から 3 桁ずつに区切ると 78,456,896 となる. この交代和は 78 − 456 + 896 = 518 = 7 × 74 となり 7 の倍数なので,78456896 は 7 の倍数. 3 [N が 6 桁のときの証明] N の上 3 桁を a, 下 3 桁を b とすると, N = 1000a + b = (1001 − 1)a + b = (7 × 143 − 1)a + b = 7 × 143a − (a − b) ここで 7 × 143a は 7 の倍数なので N が 7 の倍数 ⇔ a − b が 7 の倍数 ⇔ N を 3 桁ずつに区切った交代和が 7 の倍数 [N が一般の桁数のときの証明] N の桁数を 3n + m とおく.(m は 0, 1, 2 のいずれか) このとき N は N = a0 + 103a1 + 106a2 + · · · + 103(n−1)an−1 と表せる. ただし 0 ≦ ak ≦ 999. ここで 103 ≡ 1001 − 1 ≡ −1 (mod7) より N = a0 + 103a1 + 106a2 + · · · + 103(n−1)an−1 ≡ a0 + (−1)a1 + (−1)2a2 + · · · + (−1)n−1an−1 ≡ a0 − a1 + a2 − · · · + (−1)n−1an−1 (mod7) したがって, N が 7 の倍数 ⇔ N を 3 桁ずつに区切った交代和が 7 の倍数 3実際 7 × 11208128 = 78456896 written by faℓ

片手キーボード "Southpaw" を試作した話-1

自作キーボード歴3年ほどの私が、なぜ片手キーボードを作りたくなったのか、どうやって作ったのかを記しておこうと思います。

なぜ片手キーボードを自作したのか?

トラックボールが好き

私はトラックボールが好きです。Logicool の M575S を愛用しており、またメインキーボードも keyball39 です。

キーボードとトラックボールを一緒に使うと、トラックボール←→キーボード間での手の移動が発生します(当然)。これが鬱陶しいのです。

解決策の1つが keyball でした。キーボードにトラックボールを搭載することで、手の移動が無くなりました。とても快適です。

「keyball が Endgame だな」と考えるときもありましたが、やっぱり M575S も使いたいのです。右手に M575S、左手にキーボード、これも試してみたい、と思ったのが最初の動機でした。

ロマン

片手キーボードってロマンがありますよね。そうですよね。分かりますよね(圧)。

搭載したい特徴

既存の片手キーボード(入手可能)には、例えば Froggy があります。

Froggy | 遊舎工房

個人的にはcolumn-staggeredが好きだったので、今回は断念。 ゲーム用なら色々ありますが、なんかちょっと違うんですよね。 好みに合うものが無かったので、設計を本格的に視野に入れ始めます。

欲しい特徴は

  • column-staggered
  • 数字行は要らないが、10キーは欲しい

に決めました。 10キーは個人的な需要です。Excelの入力時にあると便利ですよね。

試作1号機

基盤は作ったことがなかったので一旦見送り、とりあえずSU120で形にしてみることにしました。とりあえずでキーボードが作れてしまうなんて、SU120すごいですね。ケースは100均のブロックで作りました。

SU120での試作

キーマップ

片手しかないので、なかなかシビアです。アルファベット26文字すら表には全ては出せないので、優先順位を決める必要があります。日本語を入力する機会が多いですが、英語の入力機会も少なからずあるので、結構悩みました。 結局、

  • 母音とYの計6音を、人差し指と中指に割当
  • (濁音でない)KSTNHRW を薬指と小指に割当(Mは入り切らなかったのでNの裏へ)
  • Kの裏にはG、Sの裏にはZ、のように、濁音を裏のレイヤーへ配置
  • 英語も入力することを考えると、(最頻文字列の)TとHは別の指に割り当てる方が良い

などと試行錯誤し、以下のように仮置きしました。

キーマップ

記号類は漏れがあったり使いにくかったりするかもしれませんが、都度修正ということで...

試作1号機の完成!

ということで "Southpaw_prototype" ができあがりました。 まだほとんど使っていないので、使用感を語るほどではないですが、とりあえず片手でも文章入力はできそうです。

Southpaw_prototypeの完成(キーキャップをちゃんと揃えることができず...)

やりたいこと

low-profile が好きなので、基盤制作する際にはlow-profileで作ろうかなと妄想しています。まずは基盤作成のお勉強からですね。

参考文献

偉大なる先人たちの記録です。

SU120

自作キーボード基板SU120の紹介 | e3w2q.github.io

SU120のキー割り当てをRemapで書き換える | e3w2q.github.io

プチブロックでケース作成

プチブロックでPiPi Gherkinのケースを作る | blog.alglab.net

配列

Eucalyn配列について - ゆかりメモ

Wisteria - キーボードを最適に - かな出現頻度調査

左手骨折したので右手専用キーボードを自作した話 - Qiita

この文章はkeyball39で書きました。

対戦表を自動表示したい

かるた会で練習をしている中で, 「AさんとBさん, 前取ったの実は半年前だね」みたいなことがちょくちょく起こります. こういうときリーグ形式の対戦表って便利だけど作るのめんどくさいな, と思ったのでちょっと楽にしました.

やりたいこと

  • 対戦の記録を1度入力すると, リーグ形式の対戦表が自動更新される(最新の試合の結果が閲覧できる)
  • 無料で行う
  • ログイン無しで会員が誰でも見られるようにする

Google スプレッドシートを用いることで実装できた.

対戦表の完成形(氏名は仮称です)

いきなり使い方

運営者はGoogleアカウントにログインが必要となる. まずは初期設定の仕方です.

  1. 下のスプレッドシートにアクセスして, 上のタブから「ファイル→コピーを作成」を選択. すると各自のGoogleドライブにコピーが作成される. https://docs.google.com/spreadsheets/d/1CdEeYSAgh8Jj8bZuPrNATyx6vFKumk2QkZE0cN2U9AQ/edit?usp=sharing

    ファイル→コピーを作成

  2. 左上のタイトルが「かるた会用対戦表 のコピー」となっているので, 適切に書き換える

通常運用は以下のとおりです.

  1. スプレッドシートのタブ「名簿」を開き, 名前と短縮名を適切に書き換える.(ニックネームにするなどもあり)

  2. スプレッドシートのタブ「結果入力」を開き, 日付・勝・敗・枚数差を入力する.

    タブ「結果入力」

  3. (以上を行うことで自動的に)スプレッドシートのタブ「対戦表」が更新され, リーグ形式での結果が閲覧できる.

例が入力してあるので分かるかと思います.

注意事項としては, 「名簿」「結果入力」以外のタブは編集しないことです. 非表示になっているタブも含めて計算用に用いているため, 編集すると不具合が起こる可能性がある.

おわり

どのような計算を行っているかを備忘録代わりに書こうと思ったが, うまくまとまらなかったのでやめた. 「AさんとBさんが行った対戦のうち最新の対戦の日付を返す」という計算を「対戦表(日付計算用)」で行っており, これが難しかった.